呼び出し

「今回は、これを貴方たちに担当してもらうわ。このサンプルを持ち帰ってもらって、また今度の打ち合わせの時までに、いくつかポスターの候補を持ってきてもらえると嬉しいわ。」

 

 

 

「分かりました。」

 

 

 

「よろしくね。期待してるわ。」

 

 

 

香さんに背中を押されて俄然やる気が出てきた。

 

 

 

 

私たちは、Rの会社を後にすると、サンプルを持って会社に向かう。

 

 

 

 

「香さん、良い方でしたね。」

 

 

 

「えぇ、早速皆にサンプルを見てもらいましょう。」
慣れた手つきで車を運転する藤高さん。

 

 

 

 

「そう言えば…藤高さんって同い年なんですよね?」

 

 

 

「あぁ…そうですね。」

 

 

 

「同期だなんて知らなかったです。」

 

 

 

「そうですか…。」

 

 

 

…。

 

 

会話が続かない。

 

 

 

 

仕事なので、無理に会話を盛り上げる必要も無いんだろうけど。

 

 

 

 

私たちはその後、特に会話もせずに会社まで戻った。

 

 

 

「うわぁー、綺麗ですね。このネックレス。」

 

 

 

「私も初めて見た時、いいなって思った。」

 

 

 

「永遠の愛…ですか。どうやって作ろうか迷いますね…。」
チームの皆にもネックレスのデザインは好評で、それぞれが意見を言い合う。

 

 

 

 

次の打ち合わせまでに、これをまとめるのは大変そうだ。

 

 

 

 

(ピピピピッ)

 

 

 

 

携帯電話が鳴る。

 

 

 

「はい。類家です。」

 

 

 

「あぁ…もしもし類家さん?私Rの香ですけど。」

 

 

 

「は、はい。どうかされましたか?」

 

 

 

「急にごめんなさいね。もしかして今晩空いていたりするかしら?」

 

 

 

「今日ですか?…はい、特に予定はありませんが。」

 

 

 

「良かった。なら今晩一緒にお食事でもどうかしら?」

 

 

 

「わ、分かりました。仕事が終わりましたら、またご連絡します。」

 

 

 

「ありがとう、じゃあまた後でね。」

 

 

 

私は電話の通話ボタンを切る。

 

 

「透、誰から?」

 

 

 

「Rの社長さん。」

 

 

 

「うそ、なんだって?」

 

 

 

「ご飯…行こうって。」

 

 

 

「えー、すごい人からお誘いが来たわね。」

 

 

 

香苗は香さんの名前を聞いて驚く。

 

 

 

なぜ急に呼び出されたのだろうか。

 

 

もしかしたら急ぎの用事があるのかもしれない。

 

 

 

 

その後、私は素早く仕事を終わらせて、香さんの待つレストランへ急いだ。

 

 

 

おしゃれな雰囲気のお店は、到底私が普段行けなさそうな高いお店で、スーツで入るのが申し訳なくなってくる。

 

 

 

オロオロしながら店内に入ると奥の方で香さんが手を振っていた。